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学生座談会 vol.1 「留学のススメ」

参加者
川内:リヨン第三大学(フランス)
能城:エアフルト大学(ドイツ)
宮田:オスナブリュック大学(ドイツ)
山下:オウル大学(フィンランド)
高橋:ジョージア大学(アメリカ)

留学(りゅうがく)とは、自国以外の国に在留して学術・技芸を学ぶことをいう。 広義には自国以外の国に限らない場合もある。 留学している人を「留学生」(りゅうがくせい)という…。

みなさんにとって「留学」とはどんなものでしょうか?

「海外で勉強するのは憧れるなあ…。」「グローバルな時代なんだから海外経験は必須でしょ。」夢や目標のひとつ?
「就活のポイント稼ぎじゃん。」「意識高い人ばっかり行ってそう…。」ある意味で目的ではなく手段?
「日本から出るとか考えられない。」「色々ハードルも敷居も高そう…。」自分には無関係なこと?

「留学」に対するイメージは人それぞれ、きっとたくさんあるでしょう。言葉として理解しても、実感として理解するのは難しいものかもしれません。
今回は人間文化課程第1回生で、1年間の留学を経験して最近帰国したばかりの5名に集まってもらいました。自分にとって「留学」とはなにか、「人間文化課程」とはなにか…リアルな「声」をお届けします。


留学の動機

能城:私の場合、まず漠然としたヨーロッパへの憧れがあったね。そこで1年生の春休み、人間文化課程のプロジェクトの1つ、オーストリアのグローバルスタディズツアーに参加した。さらにそれがきっかけとなって、今度は2年生の夏休みにウィーン大学のサマーコースに自主参加し、新しいことをたくさん経験できてすごく楽しかった。その経験を続けていきたいって願うようになったことが、留学につながったと思う。
ドイツ語圏に決めた理由としては、ドイツ語に惹かれたところがすごく大きい。実は第二外国語はフランス語選択だったから、ドイツ語を始めたのは実質2年生の夏からだったんだけど…。今思うとかなりムチャしたなって思うね(笑)。

宮田:僕の場合は、日本で「生きにくいな」って感じている部分がずっとあったから、日本ではなくて海外に居場所を求めようと思ったことが一番の理由かもしれない。1年生の頃から、どこか(海外)へ行きたいなとは考えていたけど、正直どこでも良かった(笑)。そのうち、自分のスタジオやゼミの教授にドイツと日本の近現代史は似ている点もあって、おもしろいよって勧められて、第二外国語もドイツ語選択だったし、「ドイツにしよう」って決めたんだ。

高橋:僕は大学のゼミで学んでいる『国際関係論・計量政治学』をもう少し深めたいってずっと思っていた。日本の授業はゼミだけだし、先生も少ないし、集中的に教えてもらうチャンスが限られている、その分野で一番進んでいるアメリカで学びたかった。…というのは建前だけれど(笑)、実際のところは、やっぱり海外に行きたかったっていうのが本当の理由。
なんで海外に行きたかったかと考えると、高校のときにカナダに行った経験が大きい。僕は栃木出身なんだけど、価値観がひとつで凝り固まっているようなところがあった。だから海外に出たときの反動が凄まじかった。こんな生活の仕方、価値観があるのか!という驚きと、海外っておもしろい!すごい!と思ったことが留学の意思の「芽生え」だと思う。

川内:まず、フランス語の響きの良さに惹かれて第二外国語を取ったのが何よりの始まり。ドイツ語よりおしゃれと言われているしね(笑)。第二外国語の授業では実用性のあるフランス語とはなかなか教えてもらう時間がないから、話せるようになれたらいいなと思ったことも理由かも。
あとは、フランスが観光大国として有名だから。もともと観光学に興味があったし、将来、旅行関係の仕事をしたかったから、文献だけでは分からない、実際に行かなきゃ分からないものを現地で見て感じたいと思った。

山下:私の場合、英語圏を目標にしていたけど、留学のための勉強を始めた時期が遅かったから、TOFFLのスコアのことを考えると、アメリカに応募するのはリスキーだなって思った。
またアメリカには一度行ったことがあったから、どうせ行くなら、ヨーロッパの英語圏で留学したいなって考えるようになった。横浜国大の提携校って、ヨーロッパの英語圏ではマルタとフィンランドなどがあるんだけど、南よりも北の寒い地域を経験してみたくて…。オーロラを生で見る経験ってそうそうできるものじゃないし。北欧ってヨーロッパでも特殊な立ち位置だから、文化とか風習も面白そうだなって思ったことも決め手のひとつかも。

英語圏/非英語圏

高橋:結局この中では、ヨーロッパに留学した人多くない?

能城:高橋くん以外はみんなヨーロッパだね。

川内:ほんとだ。なんか珍しいね。

能城:じっさい、英語圏は留学においてマジョリティと思われているよね。ヨーロッパとかの非英語圏とかって普通はあまり聞かないし。

高橋:でもフィンランドは英語圏じゃん。

山下:たしかに、そうだけど。でも高校生向けの留学セミナーで講演したときは、やっぱり、アメリカのブースが断トツ人気で…フィンランドのブース来てくれなかった(笑)

宮田:留学=アメリカっていう風にだけ、短絡的に考えるのはやめてほしいな(笑)

川内:非英語圏からすると切実な思いだよね。

能城:でも、非英語圏はハードルが低い分、行ってからの語学の壁が高いよね。

宮田:そうだね。最初は授業が結構辛かった。

川内:何を言っているかわからなかったもん(笑)

山下:私も授業は英語だけど、日常生活がね…。

能城:スーパーで買い物するときとか?

山下:そうそう。何書いてあるか分からないから、ひたすらGoogle翻訳使った(笑)

宮田:そうか、フィンランド語の辞書なんてほとんどないものね。

高橋:そう考えると、非英語圏は英語を使うこと少ないんでしょ?授業だけじゃなくて生活面も辛くない?

宮田:うーん…。でも、日常生活は意外と英語だったりしたよ。外国人だとわかると英語使ってくるから、僕としてはドイツ語使ってくれない?と思うところはあったけれど。

能城:ドイツにいるんだからドイツ語話したいって思っているのに、ちょっと引っかかる部分ではあったよね。

高橋:でもそれ、日本でもやるよね。外国人って分かるとやたらと英語使いたがる、みたいな。

コミュニケーションの難しさ

宮田:初めの頃は、コミュニケーションの輪に加わるのがなかなか大変だった。

能城:それは誰でも経験するよね、たぶん。

山下:言葉の壁があるせいで、コミュニケーションの壁にもぶつかる感じだよね。

宮田:例えば、日本語の説明とか。平仮名とカタカナと漢字を教えることの難しさはハンパじゃない。相手に概念がない上に、自分の語彙が足りない状況だったから…。

山下:うまく説明できないから、お互いに伝わったつもり、分かったつもりの中途半端なままで終わるよね。

宮田:なんかお互いにモヤモヤした感じになっちゃう。たどたどしいドイツ語しか話せないし、最初のうちは自己紹介すら恥ずかしかった(笑)

山下:むこうではパーティとかよくあるけれど、どうしていたの?

宮田:お酒の力で…(笑)。まずはビールとか飲んで、テンション上げてから参戦!かな?

能城:でも、お酒飲んで酔うと言葉出てきたりするよね(笑)
(注:今回の座談会参加者は全員20歳以上です。)

山下:パーティは日本にはない文化だもんね。だから逆に、たまに一人になりたいときの距離感の取り方とか難しかった。

能城:ノリが激しすぎてついていけないときとかあったなあ。

山下:高橋くんは、コミュニケーションの壁の問題に陥ることはなかったの?

川内:パーティも全力で楽しんでいそうだよね。

高橋:でも、唯一よくわからなかったのはやっぱり宗教かな。言っていることは分かるけどイマイチ腑に落ちない。論理でどうにかできるものじゃないんだなって思った。

共に生活するということ

山下:1年間共同生活して感じたのは、絶対、日本でもシェアハウスはしたくないってことかな。

能城:共同生活でいい思い出ができなかったことが、私は結構残念だったな…。

山下:キッチンはやっぱり聖域だし、重要だよね。

能城:毎日2時間くらい占領されていたから、そのせいで自炊もしにくくなっちゃって…。

山下:洗い物とかね、共同で使うまな板、包丁くらい洗ってよ!みたいな。

能城:同室に日本人がいたせいもあって、距離感掴むのが意外と難しかった。下手に頼りたくないなって思ったこともあって…。

宮田:そんなに苦労してたんだ。でもある意味その反動で外に出よう!って意識も生まれたでしょ?

能城:確かにそれはあったかも。

高橋:基本的に「気を遣うこと」はしなかったわ。

川内:男子はそのへん楽そうだよね。壮絶そうだけど(笑)

高橋:汚かろうが、どうしてようが気にしないのが大切だよ。

山下:さすがすぎる。

高橋:共同生活でおもしろかったのは人種の違いをモロに体感したことかな。人種によって体感温度ってやっぱり違うんだよね。ヨーロッパ系は極端に暑がりで、アフリカ系は極端に寒がりだから。

宮田:エアコン戦争大変そう(笑)

高橋:冬の寒い時期に部屋帰ったら、なんか机の上に布団の塊があって…もそもそ動いてるから、そっとめくってみたら、アフリカ系の奴が布団の中で丸まって勉強してた(笑)

留学で学んだこと

川内:ありきたりかもしれないけど価値観が広がるのは大きいと思う。

山下:日本は既成概念とかイメージ大事にし過ぎて、ある意味、囚われてるよね。

能城:自分の人生を楽しく過ごすための引き出しをたくさん作れたってところが、一番良かったなって思う。

高橋:行動に良い影響が出てくるところかな。それまでは頭で分かっていてもなかなか行動に移せないことが多かったけど…。

例えば、「発言」とか。留学する前は、物怖じしたり、面倒だから発言控えたりしがちだったけど、今じゃそんなの一切気にしないし、言いたいこと言えるようになったんじゃない?

山下:それは確かにあるね。物事に対する積極性は増えたと思う。

川内:うん、精神的に強くなったよね。大学通って、勉強して、就職して…っていう敷かれたレールの上の人生だけじゃないんだなあって実感できた。色々な人の数だけ、色々な人生があるんだって思った。

能城:むこうだと、すごく年上の学生とか、一度就職してからもう一度大学に入り直した学生とかいたよね。

山下:そういうのは日本ではほとんどないじゃない?いかに日本では固まった概念しかなくて、選択肢が少ないんだろうって実感したよ。

高橋:だからこそもっと自由に生きたいってすごく思うよね。

川内:精神的に強いっていうより、図太くなった感じ?(笑)

山下:やっぱり、日本を外から眺める経験ってすごく貴重だし、意味があることだと思う。

川内:日本の良さがすごく分かったよね。

山下:もちろん、悪いところもたくさん見えてくるし。両方知っていることが、そのあとの人生を本当に豊かにしてくれると思わない?

能城:日本の良さ悪さも分かったし、ドイツの良さ悪さも分かったからこそ、100%どちらに傾くことは今後ないんだと思う。

山下:日本人らしさはもちろん好きだよ。

能城:私は、たった1年間の生活でも日本が恋しくなったよ。

川内:また海外に長期滞在はしたいと思うけど、永住したいとは思わない。

山下:日本は捨てきれないよね。

高橋:「日本食」はやっぱり譲れない!

能城:最終的には日本に関係する写真だけじゃなくても、文字を見るだけでもきつくなったもん。

高橋:「牛丼」というワードとかね(笑)

人間文化課程と留学

川内:人間文化課程(略称「人文」)は、留学に行きやすいのが特徴のひとつだよね。

山下:成績がね…取りやすいからね…(笑)

宮田:でも良い成績が取れたからこそ、留学にも行けるし、そのための奨学金も支給されたのは事実だよ。

高橋:だから、人文に入ったら留学行くべきだよね。

川内:留学は行ったもん勝ち!!!(笑)

能城:人文は社会系も芸術系どっちの授業も取れるのが魅力だよね。両方の知識を持っていること、下地があることは留学にも生きた気がする。

高橋:人文で学ぶことって「教養」じゃん?今の日本の教育において何よりも重要だと思うんだよね。

能城:確かに、学問のとっかかりとしても教養は大切だよね。

高橋:理工学部とか経済学部と違って、人文では専門性を深めるのは難しいけど、その分やりたいことを留学先で深めたり、極めたりすることもできる。

川内:誰もが留学先で専門性も極めることができるとは限らないと思うけどね。

高橋:留学にはそういう可能性もあるってことだよ。

能城:人文に入れば、何かが見つかるしね。

宮田:うん。みんな紆余曲折を経ても、結果的に何か見つけている。

能城:下手に専門的に固定した学部を選ぶよりも、可能性は広がるね。

山下:友達も先生も色んなことを勉強している人がいて、バラエティー豊かだしさ。

能城:専門性が緩やかな分、自分のやりたいように「選ぶ」ことができるしね。

宮田:ある意味、成功、失敗がないよね。固められてないからこそ、修正できるし、いくらでもやり直すことができる。だからこそ、納得して進むことができる。

能城:ひとりひとりが違う選択ができるように、ひとりひとりに違う留学がある。人文と留学は、実はとても似ているんじゃないかな。

座談会:2014年12月
司会・編集:柴原(人間文化課程3回生)

  • 2015

    学生座談会 vol.2
    学びのススメ
    勝海(4年、清田ゼミ)
    小林(4年、松原ゼミ)
    川合(3年、清田ゼミ)
    鈴木(3年、大須賀ゼミ)
    根岸(3年、高橋ゼミ)
    内野(2年、近藤スタジオ)
    八木(2年、大須賀スタジオ)
    林(1年、平倉スタジオ)
    吉岡(1年、彦江スタジオ)

  • 2014

    学生座談会 vol.1
    留学のススメ
    川内:リヨン第三大学(フランス)
    能城:エアフルト大学(ドイツ)
    宮田:オスナブリュック大学(ドイツ)
    山下:オウル大学(フィンランド)
    高橋:ジョージア大学(アメリカ)

  • 2014

    山浦真衣・田邉裕介 (3年)
    「他者」との信頼を築くこと
    所属:文化人類学スタジオ・松本ゼミ

  • 2013

    徳永綸 (3年)
    渦の中に飛び込んで
    所属:編集批評スタジオ/現代芸術スタジオ

  • 2012

    竹間瑠莉 (2年)
    国際的な視野と学びの環境
    所属:国際社会学スタジオ

    田才諒哉 (2年)
    幅広い学問領域と実践的なスタジオ科目
    所属:国際社会学スタジオ