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教員インタビュー 2014

松本尚之 「フィールドワーク=畑仕事」から始める社会の理解 社会文化コース/文化人類学

松本尚之

先生の研究内容を教えてください。

僕の専門は文化人類学です。フィールドワークを通して、異文化について研究する学問。僕の場合は、西アフリカのナイジェリアをフィールドに気がつけば10年以上、調査研究を行っています。

どんなことを研究しているのですか。

多民族国家のなかで諸民族の伝統文化が国家政治とどう関わるか、ということを研究しています。より具体的には、王や首長と呼ばれる伝統社会の権威者たちの現在の立場などに興味があります。あと最近では、日本に暮らしているアフリカ人についても調査を行っています。日本に暮らすアフリカ人の数は90年代以降に急増していますが、出身国別に見るとナイジェリア人が人口第一位です。自分自身にとって遠い異文化と感じて始めたナイジェリアの研究ですが、気がつけばナイジェリアに行かずとも身近な隣人として話を聞けるようになってます。

先生からみた人間文化課程の印象は?

いわゆる文系の学際的な課程。いろいろな専門分野の教員がいるから、文系で自分の興味があることを大学で勉強したいと思ったときに、どんな問いであれ、誰かしら受け止めてくれる人が見つかる課程。だから、自分なりの興味や関心を持っていれば、楽しめるところだと思う。逆に、自分自身の関心を見極めて問いを主体的に創り出すことができないと、大変苦労するかもしれない。高校までの授業のように、誰かが答えるべき問題を用意してくれるようなところではないから。

人間文化課程の他の先生の印象は?

松本尚之

うーん、個性的な人が多いですよね。もちろん、みなさん、とても素晴らしい先生方です。とても大切なことなのでもう一度繰り返します。みなさん、とても素晴らしい先生方です。

二つのコースがありますが、先生が所属している社会文化コースでは何が学べるのでしょう。

社会学、歴史学、哲学、人類学、開発学や政治学などなど。フィールドを持っている先生も多くて、アジアを研究してる人もいれば、アメリカやヨーロッパ、南米やアフリカなどなど。「などなど」が多いですね(笑)。
何を学べるか、と受験生に聞かれた時に一つ強調したいことは、うちの課程にかかわらず人文社会系の課程・学部について知りたければ、看板だけ眺めていても何もわからない。所属する教員の専門分野や研究テーマ、さらには執筆した本や論文のタイトルなどを確認するべき。それらの情報は、大学のウェブサイトを覗けばすぐに見つかる。
「文化」とか「社会」とか、あるいは今時だと「国際」とか「情報」とか、そういった言葉を看板に掲げた人文社会系の課程・学部は一杯あるし、パンフレットやウェブで「○○課程・学部とは」って見ても似たようなことが書いてある。でも、だからって、実際の中身が同じかっていうとそうではない。結局、教員の専門や関心が違えば、学べることやその質も変わってくる。だから、コースについての一教員の説明を聞くよりも、教員紹介ページで教員一人一人の研究を知って欲しい。そして、もし、面白そうな研究してるな、と思える教員が何人か見つかるようなら、うちの課程に来ても楽しく学ぶことができると思う。

人間文化課程の特色の一つとして「スタジオ科目」がありますが、どんな科目ですか。

スタジオ科目については、通常プロジェクト型の授業と説明されますね。僕自身は、従来の教育カリキュラムで言えば「演習」(ゼミ)に対する、「実習」みたいなものかな、と思っています。文化や社会の研究といっても色々なアプローチがあるから、その研究方法を実践的に学ぶための授業。

具体的には、先生のスタジオでは何を学べますか。

僕の専門の文化人類学は、フィールドワークを研究方法の中心に据えた学問。市井の人と語らい交わる中で、対象社会の理解を目指します。僕のスタジオは、このフィールドワークという研究方法を実践的に学ぶことを目的としています。最初はグループ調査から始めて、3年次には学生個々人が自ら設定した研究テーマに沿って、調査対象を見つけ、一年かけて調査を行います。
「フィールドワーク」は日本語にすれば「野良作業」あるいは「畑仕事」。「畑仕事」では、畑おこしや種まきから学ぶべきものがある。ただ収穫するだけなら、それは「果物狩り」の類に過ぎない。だからスタジオでは、テーマ設定にしろ、調査対象選びにしろ、僕自身は一切手を貸さず、学生個人個人に全てをやらせています。「プロジェクト」と呼べるような合同テーマも設定しないから、何をやるスタジオかわかりづらいと言われたりもしますが(笑)。でも、ゼロから自分一人で組み立てることで、企画立案や計画実行の能力が身につくと僕は思っています。スタジオ生たちは、自分の関心をうまく具体的な調査の形にできなかったり、できても調査につきあってくれる相手が見つからなかったりと色々苦労していますが、それでもみんな頑張って良い調査をしていますよ。

スタジオって一年次からありますよね?なぜですか?

うーん、なぜだろう…。ただ、やってみて思うことは、学生との距離がすごく近くなった気がします。人間文化課程では、1年生の春学期に基礎演習があり、秋学期以降はスタジオ科目が始まる。基礎演習もスタジオ科目も定員が8名程度の授業だから、入学してから卒業までずっと少人数制の授業があることになる。これって、学生数の少ない国立ならではの濃密な授業形式で、良いことだと思う。大変ではあるけど。

最後に、人間文化課程を目指す学生に一言。

入学したら声をかけてください。よろしく!

インタビュー:2014年1月7日
撮影:李芸知(人間文化課程3年)

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教員紹介:松本尚之